先日、誕生日を迎えた弟にお祝いのLINEを送るとなかなか返事がなかったのですが、翌日朝、「花粉症がひどくて寝ていた。」と返事がありました。
聞くと、急性副鼻腔炎を発症し受診をして抗生剤を服用したとのこと。「今は鼻づまりは軽く、透明な鼻水がスルスル出て困る。」とのことでしたので、漢方薬を2種類送りました。
〇小青竜湯(しょうせいりゅうとう)
構成生薬:麻黄・桂枝・甘草・芍薬・五味子・乾姜・細辛・半夏
身体が冷えやすい方で、体質的に水分が溜まり鼻水や痰、涙など分泌が過剰な方にお勧めです。
水に濡れたタオルを身体に巻き付けているとだんだん冷えてきますよね。それと同じように、身体に水分が溜まりやすい方は潜在的に冷えているタイプが多いです。
透明な鼻水が流れやすい、薄い痰がでる、気管支喘息を持っている、など呼吸器系のトラブルにも使えます。
「ゾクっとしてくしゅん!」の後にスルスル鼻水が出てくる。
そんなシチュエーションになったら、ぜひお試しください。
特徴的な生薬は「五味子(ごみし)」。酸っぱい作用で分泌物の出すぎを抑えます。
そして「乾姜(かんきょう)・細辛(さいしん)・桂枝(けいし)」が身体を強烈に温めてくれます。
※乾姜は生姜をスライスして蒸して乾燥したもの。加工することでショウガオールという成分が増量され、生姜よりも温める作用が強くなります。
〇麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)
構成生薬:麻黄・附子・細辛
漢方薬は、構成生薬が少なければ少ないほどシャープに効くのは漢方業界では有名なお話です。
そして、この麻黄附子細辛湯はたったの3つの生薬で構成されており、効果発現も早いのが特徴です。
この漢方薬の主役はなんとっても冷えを強烈に温める「附子(ぶし)」。
附子は、アコニチンという成分で、病院から出される薬にも、冷えによる疼痛などに使われています。
麻黄附子細辛湯を悪寒が酷い時に飲むと、身体の内側からポカポカしてきます。
花粉症で小青竜湯が効かなかった場合、麻黄附子細辛湯で鼻水がピタリと止まることがあります。
「のどチクの風邪に麻黄附子細辛湯」と言われることもあり、身体は冷えているけど、喉がチクっとしたとき(コロナ感染症のように喉の痛みが激しいときは別のタイプの漢方薬になります。)に飲むと楽になる漢方薬です。
私は漢方薬の効果が出たときに逆説的に考えるのが好きなのですが、「なぜ、効くのか?」を考えると花粉症の対策が見えてきます。
小青竜湯も麻黄附子細辛湯も冷えを温める生薬がたくさん入っています。「温めると改善傾向になる」ということは、【冷やさない養生】も大切だということです。冷たい飲み物や身体を冷やす食べ物(お刺身や夏野菜など)を控える、手首や足首など血管が集まる部位を冷やさない、普段の養生でも少し気を付けるだけで花粉症対策になります。
そして物理的に花粉に近づかないように、マスクをしたり、洋服についた花粉を落としてから部屋に入る、窓を開けるときは〈レースカーテンをすると花粉の3/4をブロックできる〉と言われています。
花粉症の薬は西洋薬東洋薬共にたくさんありますが、最初は病院に行く方も多いと思います。
鼻水やくしゃみに対しては抗アレルギー剤と呼ばれる内服薬が、眼の痒みにも痒みや炎症を抑える点眼薬がよく処方されています。
近年は、眼の痒みに対して眼瞼(がんけん)に塗るクリームや、生ワクチンのように微量の花粉を舌下から吸収させて免疫を強化する西洋薬も出てきました。それだけニーズが多くあり、困っている人も多いということだと思います。
「目ん玉を取り出して洗いたい!」というほどの目の痒み。生活に支障がないわけがありません。
眼の痒みには、眼の炎症を抑える生薬である菊花(きっか)や決明子(けつめいし)が入った洗肝明目湯(せんかんめいもくとう)や、炎症と浮腫を取ることが得意な越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう)が使われます。
花粉症は原因がはっきりしているので、西洋薬であれ、東洋薬であれ、対処しやすい病態だと思います。
ただ、鼻水に使われる西洋薬である抗アレルギー剤は眠たくなる作用が多く出てしまいます。
そんなときは、ぜひ眠くならない漢方薬での対処をお勧めしたいと思います。
